調停離婚とは?調停で離婚する方法と流れをわかりやすく解説|手続き・準備・注意点まで徹底ガイド
- 調停離婚とは?裁判所で話し合って離婚を成立させる方法
- 調停離婚が選ばれる理由とは?
- 調停離婚の流れ|申し立てから成立までのステップ
- 調停離婚で決めるべき主な項目
- 調停離婚のメリットとデメリット
- 調停離婚にかかる費用と期間の目安
- 調停離婚が不成立になるケースとは?
- 調停離婚をスムーズに進めるためのアドバイス
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|調停離婚は冷静さと準備が鍵
- 協議離婚とは?話し合いで離婚するための手続き・必要書類・進め方を徹底解説
- 審判離婚とは?家庭裁判所で離婚が決まるケースとその進め方をわかりやすく解説
- 裁判離婚とは?裁判で離婚するための手続きと流れをわかりやすく解説
- 離婚の進め方には4つの方法があります|協議・調停・審判・裁判それぞれの手続きと選び方を解説
調停離婚とは?裁判所で話し合って離婚を成立させる方法
調停離婚とは、夫婦間で離婚の合意ができない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚を成立させる方法です。
あくまで「裁判」ではなく、「調停」という話し合いの場を通じて合意を目指すものであり、第三者(調停委員)が間に入ることにより、冷静な話し合いを促進する役割を担います。
調停離婚は、民法770条に基づく法的手続きの一つで、「調停前置主義」により、離婚の訴訟を起こす前にまず調停を経る必要があるとされています。
つまり、夫婦間で話し合いがつかない場合、まずは調停からスタートするのが原則です。
調停は家庭裁判所の中で行われ、裁判官1名と調停委員2名(男女各1名が多い)によって構成される調停委員会が、夫婦それぞれの意見を個別に聞きながら進めていきます。
この場では弁護士が同席することもできますが、基本的には本人同士での参加が原則です。
調停が成立すると、その内容は「調停調書」にまとめられ、裁判の判決と同等の効力を持ちます。
離婚届の提出は不要で、自動的に戸籍に反映されます。
調停離婚が選ばれる理由とは?
調停離婚は、夫婦間の関係が悪化し、直接話し合うことが困難になったときに選ばれる手続きです。
実際、多くのケースで協議離婚が成立せず、調停へと進むことになります。
以下に、調停離婚が選ばれる代表的な理由を解説します。
夫婦だけでは話し合いがまとまらない場合
離婚を望む側と、それに反対する側が対立していたり、そもそもコミュニケーションが断絶しているような状態では、協議離婚は成立しません。
そのような場合、中立的な第三者を交えて話し合う必要があり、それが調停という制度です。
特に以下のような状況では、調停離婚が選ばれる傾向にあります:
- 一方が離婚を拒否している
- 離婚条件(親権、財産分与、養育費など)で意見が対立している
- 直接会うと口論になる、暴力的になるなど、安全面で不安がある
家庭裁判所が間に入ることで冷静な対話が可能
調停では、夫婦が同じ部屋で直接話し合うことはほとんどありません。
通常、当事者は別々の待合室に案内され、調停委員が交互に話を聞く「交互面談方式」で進行します。
これにより、感情的な対立を回避し、事実と要望を冷静に整理できる環境が整います。
また、調停委員は法律や心理に詳しい人が任命されており、法律的な観点と家庭的な観点の両面からバランスよくアドバイスを提供してくれるのが特徴です。
法的効力がある合意が成立する
調停が成立すると、内容はすべて「調停調書」にまとめられます。
この調書には裁判所の認可があるため、裁判の判決と同じような強制力を持っています。
たとえば、調停で養育費の支払いを約束した場合、その後に支払いが滞っても、裁判なしで強制執行が可能です。
つまり、後からの「約束を破った」「そんなつもりじゃなかった」といったトラブルを防ぐことができるという点で、調停離婚は非常に実用的な手続きです。
調停離婚の流れ|申し立てから成立までのステップ
調停離婚の手続きは、家庭裁判所に申し立てるところから始まり、数回の調停を経て合意に至るまで、段階的に進んでいきます。
この章では、調停離婚の全体像をステップごとにわかりやすく解説します。
ステップ1:家庭裁判所へ申し立て
調停離婚を希望する場合、まずは「夫婦関係調整調停(離婚調停)」を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
申し立ては、原則として相手方(配偶者)の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
<必要な書類>
- 調停申立書(裁判所の窓口またはWebで入手可能)
- 夫婦の戸籍謄本(発行から3カ月以内)
- 収入印紙1,200円分(申立書1件につき)
- 郵便切手(各家庭裁判所で異なる。
1,000〜2,000円程度)
申し立て後、裁判所が内容を確認し、第1回目の調停期日が決まります。
ステップ2:調停期日の通知が届く
申し立てから約3〜4週間後に、「調停期日呼出状」が申立人と相手方に郵送されます。
これには第1回目の調停日時・場所・必要書類の案内が記載されています。
当日は、家庭裁判所内の調停室で行われます。
特別な服装の指定はありませんが、過度にラフすぎない清潔感のある服装が望ましいとされています。
ステップ3:調停委員との面談と話し合い
調停当日は、原則として申立人と相手方が別々の待合室で待機し、調停委員がそれぞれの主張を交互に聞き取りながら進行します(交互面談方式)。
調停委員は、男女1名ずつで構成されていることが多く、中立的な立場からアドバイスや調整を行います。
話し合う主な内容(例)
- 離婚の意思があるかどうか
- 親権・養育費・面会交流について
- 財産分与・慰謝料の請求有無
- 今後の生活・連絡方法
1回の調停で解決することは少なく、平均で2〜4回程度の調停期日が設定されるのが一般的です(1回あたり約1〜2時間)。
ステップ4:合意が成立すれば離婚成立
調停で双方の合意が成立すると、裁判官がその内容を確認し、「調停成立」として調停調書に記録されます。
この調停調書は、確定判決と同様の法的効力を持ち、別途離婚届を提出する必要はありません。
調停調書の成立により、自動的に戸籍に反映され、正式に離婚が成立します。
調停が成立しなかった場合
以下のような場合、調停は不成立となります。
- 双方の意見の隔たりが大きく合意に至らない
- 一方が調停への出席を拒否し続ける
- 現実的な落としどころが見いだせない
調停が不成立になると、「調停不成立」として終了し、審判離婚または裁判離婚へ移行する選択肢が出てきます。
審判離婚と裁判離婚のくわしい内容は審判離婚とは?家庭裁判所で離婚が決まるケースとその進め方をわかりやすく解説と裁判離婚とは?裁判で離婚するための手続きと流れをわかりやすく解説で解説しています。
調停離婚で決めるべき主な項目
調停離婚は、単に離婚の可否を話し合う場ではありません。
離婚後の生活に直接関わる重要な事項を、調停委員を介して慎重に決めていくプロセスです。
以下に、調停離婚で必ず取り決めるべき主な項目を紹介します。
親権の指定
未成年の子どもがいる場合、調停離婚では親権者を必ず指定する必要があります。
調停調書には、どちらが親権を持つかを明記しなければなりません。
親権は以下の2種類から構成されます:
- 身上監護権:子どもの生活や教育を管理する権利
- 財産管理権:子どもの財産や契約を管理する権利
この2つを分けて持つことは原則できないため、どちらか一方が全面的に親権を持つ形となります。
養育費の取り決め
親権を持たない側も、子どもの生活を支える責任があります。
そのため、養育費についても具体的に話し合う必要があります。
取り決めるべき主なポイント
- 月額いくら支払うか
- 支払いの開始日と終了時期(大学卒業までなど)
- 振込先や支払日
- 支払い方法(毎月、年払い、一括など)
- ボーナス加算の有無
可能であれば、支払い義務を調停調書に明記することで、支払いが滞った際に強制執行が可能になります。
面会交流のルール
親権を持たない親と子どもとの交流は、子どもの健やかな成長のためにも重要です。
そのため、面会交流についても明確に決めておくことが望まれます。
話し合うべき内容例
- 会う頻度(月1回、月2回など)
- 会う場所(自宅、第三者機関など)
- 子どもが成長した場合の対応(年齢に応じて変更するなど)
- クリスマス・誕生日・入学式などの特別な日の扱い
曖昧な表現はトラブルのもとになるため、可能な限り具体的に書面に残すことが推奨されます。
財産分与・慰謝料・年金分割
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産を公平に分ける手続きです。
持ち家、預貯金、保険、退職金、車などが対象になります。
名義がどちらか一方でも、実質的に共同で形成した財産であれば、分与の対象になります。
また、不貞行為やDVなどがある場合は、慰謝料の請求も調停の中で行うことが可能です。
年金分割についても、厚生年金の記録を分け合う手続きとして、合意があれば調停調書に明記することができます。
姓と戸籍の取り扱い
離婚後、姓をどうするか(旧姓に戻すか、婚姻時の姓を名乗るか)を決める必要があります。
旧姓に戻す場合は、「離婚の成立から3カ月以内」に復氏届を出す必要があります。
また、子どもの戸籍についても、親権者と同じ戸籍に入れるためには、別途「入籍届」が必要になります。
調停離婚のメリットとデメリット
調停離婚は、夫婦間での話し合いが難しいときの現実的な解決手段です。
しかし、メリットだけでなく、いくつかの注意点やデメリットも存在します。
ここでは、調停離婚の長所と短所を整理してお伝えします。
調停離婚のメリット
- 家庭裁判所という中立的な場所で話し合える
- 調停委員が間に入ることで冷静に話ができる
- 合意内容が調停調書に記録され、法的拘束力がある
- 調停調書に基づき、強制執行が可能
- 自分の気持ちや主張を文書として正式に残せる
調停委員が公正・中立な立場で進行をサポートしてくれるため、一方的に不利な合意をさせられるリスクが軽減されます。
調停離婚のデメリット
- 数カ月にわたって通院・やり取りが必要になる
- 相手が出頭しないと不成立になる可能性がある
- 感情的に負担がかかる場合がある
- 不成立の場合は、審判または裁判に移行する必要がある
- 調停委員との相性や進行状況に左右される面もある
特に、「離婚そのものに相手が強硬に反対している場合」や「相手が出頭しない」場合には、調停が無意味に終わってしまうこともあります。
そのようなリスクを念頭に置いた上で、冷静に進める姿勢が求められます。
調停離婚にかかる費用と期間の目安
調停離婚は裁判所を通じて行う公的な手続きですが、費用は比較的安価で済むのが特徴です。
一方で、手続きが複数回に及ぶこともあり、一定の時間的負担がかかることもあります。
ここでは、調停離婚に必要な費用と期間の目安について整理して解説します。
調停離婚にかかる費用
調停離婚の申立てには、以下のような実費が必要です。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
収入印紙 | 1,200円(申立書1件につき) |
郵便切手 | 約1,000〜2,000円(家庭裁判所により異なる) |
戸籍謄本 | 450円前後(市役所等で取得) |
弁護士費用(任意) | 相談料:5,000円〜/着手金:10万〜30万円前後 |
家庭裁判所に支払う実費は高額ではありませんが、弁護士に依頼する場合は別途費用がかかるため、あらかじめ見積もりを取り、費用対効果を検討することが重要です。
調停離婚にかかる期間
調停離婚の手続きには、以下のような期間が一般的に必要です。
- 申立てから第1回調停まで:約3〜4週間
- 1回の調停時間:約1〜2時間
- 回数の目安:2〜4回が平均
- 調停全体の期間:平均3〜6カ月
ただし、争点が多い場合や相手が非協力的な場合には、1年近くかかることもあります。
一方で、条件が早期に整えば、2カ月程度で成立するケースもあります。
調停離婚が不成立になるケースとは?
調停離婚は、夫婦の双方が話し合いによって合意に至ることを前提とした制度です。
そのため、一定の条件が整わなければ、調停は「不成立」となります。
ここでは、調停離婚が不成立になる典型的なケースを解説します。
意見の隔たりが大きく、合意に至らない
もっとも多い理由が、親権・養育費・財産分与・慰謝料などについて、お互いの主張が対立し続けるケースです。
調停委員が間に入って調整を試みても、歩み寄る姿勢が見られなければ合意は成立しません。
とくに以下のような状態では、調停成立は困難です:
- 離婚そのものに片方が強硬に反対している
- 子どもの親権をどちらも譲らない
- 財産や慰謝料をめぐって大きな感情的対立がある
相手が出席しない・無断欠席を繰り返す
調停は、両当事者が出席しなければ進行しません。
相手が調停を無視して出頭しない場合や、初回のみ出席して以後欠席し続けるような場合には、調停委員会が「不成立」と判断することがあります。
なお、やむを得ない事情(病気・出張など)がある場合は、期日の変更申請が可能ですが、無断での欠席が続けば「不調」扱いとなります。
一方的な主張に終始し、歩み寄る意志がない
調停はあくまで話し合いの場です。
法律上の強制力で結論を押し付けるものではありません。
そのため、一方が「絶対に応じない」「一切聞く耳を持たない」といった態度を取り続けると、実質的な進行が困難となり、不成立に終わる可能性が高まります。
不成立になった場合の流れ
調停が不成立になると、裁判所から「調停不成立通知書」が交付されます。
その後は、以下のいずれかの道を選ぶことになります:
- 審判離婚(調停からの自動移行。法的拘束力あり)
- 裁判離婚(地方裁判所での訴訟手続き)
どちらに進むかは、争点の内容と当事者の意向によって異なります。
審判離婚と裁判離婚のくわしい内容は審判離婚とは?家庭裁判所で離婚が決まるケースとその進め方をわかりやすく解説と裁判離婚とは?裁判で離婚するための手続きと流れをわかりやすく解説で解説しています。
調停離婚をスムーズに進めるためのアドバイス
調停離婚は、夫婦間での話し合いが難しいときの現実的な選択肢ですが、冷静さと事前の準備によって、その進行は大きく左右されます。
ここでは、調停をスムーズに進め、納得のいく合意に近づくための実践的なアドバイスをご紹介します。
1. 感情を整理し、事実を冷静に伝える準備をする
調停では、相手を責めるのではなく、自分が望むこと・譲れることを冷静に伝える力が重要です。
感情的になってしまうと、調停委員も正確な状況判断ができなくなります。
- 言いたいことを箇条書きにして整理しておく
- 感情と事実を分けて話す意識を持つ
- 相手の反応に左右されない姿勢を心がける
2. 記録や証拠を可能な限り準備しておく
養育費の金額や財産分与の割合などを話し合う際には、収入・支出・資産・子どもの生活状況に関する資料が説得力を持ちます。
- 給与明細や源泉徴収票
- 預金通帳のコピー
- 住宅ローン・保険・学費などの明細
- 子どものスケジュールや生活費の内訳
これらの情報を整理し、「こちらの主張には根拠がある」ことを示すことが、調停の成功に近づきます。
3. 必要に応じて専門家の支援を受ける
法律や交渉に不安がある場合は、弁護士に相談したり、調停への同席を依頼することも検討しましょう。
また、女性センターや法テラスなど、無料相談機関を利用するのも一つの方法です。
特にDVやモラハラの疑いがある場合は、法的支援や保護措置の検討が必要です。
一人で悩まず、信頼できる第三者の力を借りることが大切です。
4. 「無理に成立させない」勇気も必要
調停はあくまでも話し合いの場です。
納得のいかない条件での合意は、後悔やトラブルのもとになります。
「無理に合意するくらいなら、不成立でも構わない」という覚悟も持ちましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 調停離婚では相手と顔を合わせますか?
A. 原則として別々の部屋で待機し、調停委員が交互に話を聞く形式で進行します。
直接顔を合わせることはほとんどありません。
Q. 必ず合意しないと離婚できませんか?
A. はい。
調停離婚は双方の合意が前提です。
合意に至らなければ調停は不成立となり、審判または裁判への移行が必要です。
Q. 子どもがいる場合、調停で何を決めますか?
A. 親権・養育費・面会交流のルールが主な項目です。
子どもの福祉を最優先にした内容が求められます。
Q. 弁護士なしでも調停は可能ですか?
A. はい。
多くの方が弁護士なしで調停に臨んでいます。
ただし、条件の複雑さや法的判断が必要な場合は、事前に法律相談を受けると安心です。
Q. 調停が長引くとどうなりますか?
A. 当事者間の対立が強い場合、半年以上かかるケースもあります。
一定期間を経て合意が見込めないと判断されれば、裁判手続きに移行します。
まとめ|調停離婚は冷静さと準備が鍵
調停離婚は、夫婦だけでは解決できない問題を、家庭裁判所という中立の場で調整する現実的な選択肢です。
話し合いによる合意が前提となるため、冷静な対話・事前の準備・譲り合う姿勢が不可欠です。
また、自分一人で抱え込まず、専門家の力を適切に活用することも成功の鍵となります。
調停は「争う場」ではなく、「納得できる離婚の形を見つける場」です。
焦らず、一つひとつの項目を丁寧に考えながら、人生の新たなスタートに向けた大切なプロセスとして活用してください。
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